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「なぜ極秘なんですか?」
「普段通りの姿が見たかったから。私が来ると知れば、全員気を張るだろう」
「そうかもしれませんね、あっ、ここです。着きました」
「助かった、ありがとう」
テオが僕の頬に触れる。表情をなくして身体を硬くする僕に、すまない、とテオが手を下ろした。
「私の護衛を見つけるためにここに来た。君のことが気に入った。私のところに来ないか?」
……王子の護衛? そんなものになったら四六時中テオに口説かれることになるだろう。絶対に無理。
「い、いえ、僕には役割が重すぎます。……あっ! カイルという先輩が剣の腕も頭も秀でているので、ぜひカイル先輩にお会いしてみてください」
頭を下げてすたこらさっさと立ち去る。
テオから離れて大きく息を吐き出した。テオルートは回避できただろうか。
テオにカイルをオススメできたのは、我ながらナイスプレーだと思う。カイルは努力家で剣の腕も騎士学校の中で圧倒的。それに、テオとカイルが並んだ時のビジュアルが天才だ。美形が二人並べば眼福だ。
僕は口説かれたくないから、テオとカイルがBLしてくれたらいいのに。見た目ならテオ×カイルが好みだけど、ベッドの上でだけ立場が逆転する主従関係の従×主も美味しすぎるから、カイル×テオも見たい。
テオとカイルの妄想を楽しみながら教室に着いて扉を開く。
「大丈夫か? 遅いから心配した」
マッチョくんがこちらに駆けてくる。もう出番は終わりだと思っていたけど、僕を心配するために再登場するなんて、いい奴すぎる。本当に可愛い受けとのスピンオフで幸せになって欲しい。その時は絶対に教えてくれ。赤飯を炊くだけじゃなく、鯛も焼くから!
「心配してくれてありがとうマッチョくん」
「いや、だから俺の名前は」
「あっ、言わないでもろて」
僕の手でマッチョくんの口を再び塞ぐ。顔を赤らめて視線を泳がすマッチョくんにキュンとした。強面イケメンな純情攻めなんて好きに決まっている。積極的な可愛い子急募!
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