ヴィンス

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 ヴィンスが食事の片付けもしてくれた。戻ってくると部屋にあるシャワー室に入っていった。  湯船はないが、部屋にシャワーがあるのは助かる。共同風呂になんて行ったら、襲われるに決まっている。絶対に無理。 「ノア、悪いけど、詰め替え用のシャンプーを取ってくれないか?」  ヴィンスが叫ぶから、いいよ、と返事をしてシャンプーを持って脱衣所の扉を開く。シャワー室の扉を開けて待っていた相手をまじまじと見てしまう。これは本当にあの地味なヴィンスか? 眼鏡を外して濡れているいだけなのに、ものすっごくイケメンに見える。 「ノア? どうした?」  声はヴィンス。 「ううん、なんでもない」  首を振ってシャンプーを渡す。ありがとうと言うと扉が閉まった。  ヴィンスは着痩せするようで、服の下にはとんでもない肉体美を隠していた。割れた腹筋と分厚い胸板をもっと堪能すれば良かった、と後悔する。後で触らせてもらおう。他のキャラクターと違って、ヴィンスなら恋愛関係にならないから安心だし。  部屋に戻ってベッドに寝転がる。  それにしても、恋愛関係にならないキャラクターなのに、幼馴染で眼鏡を外すとイケメンとか勿体なさすぎる。僕がゲームを純粋に楽しんでいる立場なら、一周目はヴィンスとくっつけようと思っただろうな。  扉が開く。ヴィンスがタオルで髪をかき混ぜながら戻ってきた。自分のベッドに腰を下ろす。 「ノアも入ってきなよ」 「あっ、うん……」  ヴィンスは今、眼鏡をかけている。やっぱり地味に見える。シャワー室で見たのは幻なのか確認したい。 「ねぇヴィンス、眼鏡を外してくれない?」 「ん? いいけど、眼鏡がないとぼやけるからすぐに掛けるよ」 「うん、いいよ!」  眼鏡を外したヴィンスは目を見張るほどのイケメンだった。心なしかキリッとして見える。 「もう付けてもいい? 眼鏡を外すと見ようとして目に力が入るから、睨んでるように見られるんだよね」 「睨んでるようになんて見えないよ」  キリッとして見えたのは、そういう理由なのか。僕はベッドを降りてヴィンスの隣に腰掛けた。ヴィンスの手から眼鏡を取るとベッドヘッドに置く。
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