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彼女をベッドに押し倒す想像が一瞬にして頭を過り、僕は甘い妄想を慌てて頭の中から追い出した。
いやいやいや、原稿用紙に向かう彼女の邪魔をしたら、それはそれで後が怖い気がする。
「うん、ありがとう。でも花純さんの邪魔したくないし。また時間が空いてたら手伝いに行くよ」
「そ、そう?」
僕の無難な答えに彼女は眉を下げ、若干不服そうに唇を曲げていた。
ファーストフード店を出て、手を繋いだままウインドーショッピングを楽しむ。
「ねぇ、蓮くん見て? このブレスレット、ペアで付けるんだって」
そう言って花純さんは揃いのアクセサリーを手にして目を輝かせる。
「そういうの好きそうだよね?」
「うんっ」
「じゃあどれがいいか選んで買おうよ」
「わぁーいっ」
花純さんは可愛いらしい笑みを咲かせて、お揃いのブレスレットを真剣に選んでくれる。
屈んで見ているので、時折肩が触れ、彼女からいい匂いがする。
「これは?」と僕の顔を覗き込んで聞き、実際に腕に着けてくれて始終ドキドキが止まらない。気のせいか、今日は彼女からのボディータッチが多いような気もする。
商品が決まり、ピンクと青のブレスレットを僕が合わせて買うと、彼女は大分遠慮していた。が、僕としては男を見せるつもりで押し通した。
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