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「ああ、違う違う。来店するたびに毎回バラを一輪だけ買っていくから、勝手にそう呼んでるだけ。開聖高校の制服を着た男の子なんだけどね、すっごくカッコいいの」
『……高校生』
またポソっと呟くと、お姉さんは「なによぉ」と言ってむくれた。
「こう見えても、私はまだ二十歳だから、彼とは多分……。三つぐらいしか違わないのよ?」
別に歳の差がどうこうという話をした訳では無いのだが、お姉さんはハタチなのかと思った。
『お姉さんの名前、聞いてもいいですか?』
「ああ、うん。私は 和倉 花純、ハタチの専門学生。キミは……って聞きたいとこだけど、覚えてないのよね?」
僕は仕方なく首肯する。
「そっか。名無しの権兵衛さんなのね。ゴンベはちょっと可愛くないから、ゴーストの……あっ! ゴウくんって呼んでもいい?」
『……いいですけど。安直ですね?』
無表情のままで呟くと、お姉さんーー花純さんは、う、と嫌そうに顔を歪めた。
「なんて言うか。ゴウくんって全然子供らしくないよね?」
『そうですか?』
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