ep2.生まれ変わりの条件

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 彼は青ざめた顔で持ち手を離した。一歩二歩と後退し、その場に尻餅をついた。自分が犯した過ちに打ち震えていた。  騒ぎを聞きつけた屋敷の使用人が、彼を取り押さえている。僕は苦しさに呻き、地面に膝を付いた。 「倫太郎さんっ、いやだ、お願いっ、死なないで!」  絹子さんは僕の腹部を両手で押さえ、泣きじゃくっていた。そんな表情すらも愛おしく、僕は彼女を見て無理やり笑みを添えた。 「よ、かった……キミが……無事で」  呼吸が荒く、喋るのすらままならない。僕は薄れゆく意識の中で、ああ死ぬのかと思った。 「倫太郎さんっ!」  彼女は「死なないで」と何度も哀願し、死にゆく僕を抱きしめていた。  ……来世では、必ず一緒に。  ほとんど声にはならなかったが、僕は最後の力を振り絞って、彼女の耳元にそう囁いた。それが僕の最期だ。
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