ep2.生まれ変わりの条件

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 ◇ 光の中へ  僕たちを繋ぐが切れたのは、絹子さんの心臓が止まったときだった。  僕はどういう作用が働いたのかも考えず、突然若返った彼女を見つめて言った。 《誰とも、結婚しなかったんだね》  既に死亡者リストを見て知っていたが、直接彼女に確かめたかった。彼女は困ったように微笑み、『あなたがいないから』と答えた。 『倫太郎さんにもう一度会えることだけを願って……半世紀以上も生きてしまったわ。随分と待たせたわよね?』  そう言って見上げてくる瞳を見つめ、ふと頭に閃くものを感じた。  なんだ。そういうことか。 『倫太郎さん? どうかした?』  ハッとしてから目を細めた僕を見て、絹子さんは首を傾げた。僕は彼女の両手を握りしめ、《何でもない》と首を振る。  神様が僕を例外の魂として呼びつけ、あの二者択一を迫った理由が今になってようやく分かった。  輪廻転生するための条件として出されたのは、9万9千1の魂を無事に成仏させること。単なる思い付きにしては何ともでたらめな数字だ。その最後の一人が、前世での想い人である絹子さんだった。  すなわち、これが何を意味するのか。神様の趣向が手に取るように理解できた。
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