ep2.生まれ変わりの条件

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 僕は待っていたんだ。  知らず知らずとはいえ、彼女の寿命が尽きるまでの六十七年を、天使業をしながらずっと待っていた。次の世で彼女と同じときを生きるために。  僕は彼女を抱きしめ、《行こう》と囁いた。  最後の魂を輪廻転生の道へ乗せるんだ。  そう決意したとき。突然周囲が明るくなった。彼女の魂と離れ離れにならないよう、ギュッと手を握り合う。目映い光に自然と目蓋が下がった。  僕たちは光の渦に吸い込まれていた。閉じた目を開けると、予想通り、神様のお膝元に立っていた。  永年僕を働かせてくれた二枚の白い羽も、もうない。僕は隣りの彼女と同様に、丸い魂だけの存在だった。 【9万9千1の魂を、よくぞ送り届けた。これより輪廻転生の道へと進むが良い】 『ありがとうございます。ですが、神様。最後に一つだけ確認させて下さい』  僕は己の意思に従って言葉を発した。 『9万9千1と条件を付けたのは、彼女と共に歩む人生を僕に与えて下さった、そういう解釈で合っていますか?』  神様は光だけの存在で、何も答えなかった。返事は貰えなかったけれど、代わりに白い扉が眼前に現れた。 『行こう』  僕は彼女の魂と並び、光の中を進んだ。  〈了〉
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