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だから、ハルトの絶望を演じるとしたら、それはもう想像でしかない。僕にとって大切な誰か、たとえば目の前にいる星伽を失ったら、と。想像して役に入り込むより他はない。
もっとも、そんな経験なんて、したくもないけれど。
彼女が椅子を引き、僕のそばへとすり寄った。彼女の手が僕をぎゅっと抱きしめてくれる。大丈夫、と元気づけるように、ただ無言で抱きしめ、背中をさすってくれている。
星伽を亡くしたら、俺は一体どうなるんだろう?
僕は気持ちの上で頭を振った。どんな哀しみが待っているのかなんて、想像したくもない。
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