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「そうよ。見た感じはとっても可愛い顔してるのに、妙に冷めてるって言うか。現実的って言うか。敬語が完璧なのはすごいけど、笑顔がないのは駄目よ。子供ならもっと子供らしく笑わなきゃ」
『……と言われても、もう死んでますけどね』
「それでも今私と会話できてるでしょ?」
『はい、まぁ』
「淡々と物事を分析するのも、きっと生活環境からくるクセなのね。敬語の使い方からしてゴウくんは育ちが良さそうだし、言葉の知識も豊富。どこかお金持ちのご子息なのかしら?」
花純さんはブツブツと呟き、そばに置いた鞄の中から一冊のノートを取り出した。右手に持ったシャープペンシルで、僕の情報を箇条書きに並べていく。
《幽霊のゴウくん》
・見た目、6歳か7歳。歳の割にしっかり者。
・敬語が上手、育ちが良さそう。→お金持ち?
・物事の受け入れがよく、現実的。
・全然笑わない
総じて、子供らしくないと書かれ、花純さんは腕を組んでまた考え込んだ。
「ゴウくんが今日亡くなったのだとしたら、キミと同い年の子の死亡事故が。きっとニュースになってるはずよねぇ」
頭で考えたことを真面目に呟くのだが、花純さんはそのままパタンと横になってしまった。
『だ、大丈夫ですか?』
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