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5.
目を開けたら、重い闇が広がる夜空に、何故か浮かんだままで座り込んでいた。
《大林 叶多さんですね。お迎えに上がりました》
空中に浮かぶ僕に向き合い、背中に白い羽を生やした男が深々と頭を下げている。頭上に輪っかは乗せていないが、ひと目見て天使と分かる風貌をしていた。
《ボクは天使です。貴方はたった今トラックに撥ねられてお亡くなりになりました》
え。死んだ? 俺が?
《残念ながら即死だったので、想い合う方がいても意思を繋げることはできません。未練はあるかもしれませんが、ボクと一緒に天国へ行きましょう》
天使は青紫の瞳を細め、僕に手を差し伸べた。
『……い、嫌だ』
天使の説明を受けて、死んだと理解するが、成仏への誘いはそう簡単には受け入れられない。
天使は僕の返事が分かっていたような表情で片方の眉をくいっと持ち上げ、ため息をついた。
「っ、いやぁっ。かなたぁ……っ」
ふと、地上から響く愛しい声が鼓膜を震わせた。
『星伽!』
宙空を移動し、僕は声の元へと降り立った。彼女が必死に呼び掛ける対象を見て、ゾクっと背筋が寒くなった。
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