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たとえ触れ合えなくても、直接会話をすることができたら、彼女を回復させられるかもしれない、そう思うのに。一縷の望みは虚しくも一蹴される。現実は映画のようにはいかないのだ。
僕は虚ろな瞳をする彼女を真正面から見つめ直した。当然ながら視線は交わらない。天使の話によると、心臓が拍動し、体がまだ生きていれば、想い合う相手と糸で繋がり会話もできるらしい。
しかし、僕みたいな即死だと、その条件には当てはまらないと言う。程なくして、真っ暗な部屋に月明かりが差した。何がきっかけとなったのかは分からない。ぼうっとしていた彼女の瞳が、ふいに光を取り戻した。
「……そうだ、あの羽」
え？
星伽はポツリと呟き、ベッド脇に置いた化粧台の引き出しを開けた。そこから見覚えのある白い羽を取り出した。
あれって……前に拾った？
羽を両手で挟み、彼女は月明かりに向かって何か祈りを捧げている。
《……信じられない》
そのとき、天使が初めて動揺を見せた。
《……あれは天使の羽だ》
『え、天使の、羽？』
僕は目を見開き、彼女と天使を交互に見比べた。そういえば羽を拾ったとき、彼女もそんなことを言っていたはずだ。
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