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突然倒れた彼女が心配になり、顔を覗き込むと、花純さんはひらひらと手を振って力なく笑った。
「大丈夫、大丈夫。……ただ眠いだけ。だってほら……酎ハイ、飲んだから」
そう言って間もなく寝落ちした。規則正しく寝息を立てて、花純さんは爆睡している。布団で寝ないと風邪をひくのではと心配になるが、霊体の僕ではどうしようもない。
仕方なく、彼女が先ほど書いた開きっぱなしのノートに目を向けた。丸みを帯びた可愛らしい字で僕の情報を書き連ねている。
その隣りのページにも文字が並んでいた。見るとさっき聞いた“赤いバラの王子さま”の情報だった。
《赤いバラの王子さま♡》
・開聖高校は偏差値が高いことで有名。よって、かなり頭が良さそう。
・サラサラの黒髪にぱっちりとした二重まぶたがときめきポイント!
・毎週水曜日に赤いバラを一輪だけ買って行く→誰かへのプレゼント?→彼女ありかも?(泣)
・赤いバラの花言葉→ 「情熱」「あなたを愛します」
・時々、仲良しのお友達(男の子)と買いに来る。
行間をあけて下の方に、何で今日は来なかったの? と今の彼女の言葉が書かれていた。
ああ、よっぽど会いたかったんだなぁ。
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