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彼女は僕を見つめたまま、潤った紅い唇で弧を描いた。幸せそうな笑みが僕にも移る。
「ハトは平和の象徴だしね?」
「ふふっ、そうだね」
星伽は拾った羽を大事そうに鞄の中へ仕舞った。
「あの時。暗闇の中で、突然白い羽が頭に浮かんだの」
「え?」
「まるで奇跡みたいだった」
彼女が漏らした呟きにはハテナしか浮かばなかったが、彼女は首を傾げる僕を見て「ふふっ」と声を上げて笑った。ベンチに並んで腰を下ろす。
「私ね……小さい頃、天使に会ったことがあるんだよ?」
彼女はそう前置きをして、不思議な体験を僕に話してくれた。
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