ep4.リングをひろって

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 ◇ 現在.1  あれ? ない。確かこのあたりに落ちたはずなのに。マンションに面した歩道で、私は探しものをしていた。  (もも)ぐらいの高さに植え込みがあり、小石や雑草がそこここに目につく、どこにでもある歩道で這いつくばっていた。  植え込みの中に入り込んだのか、コンクリートを転がったのか。とにかく、はすぐに見つかると思っていた。  もしかして、もう誰かに拾われた? そう考えるだけで背筋がゾッとなる。何であんな馬鹿なことをしたんだろう、今思い出しても後悔しかない。  低姿勢を取る私のそばを、幾多の人々が通り過ぎる。皆、私の存在になど気づいていない様子だ。それもそのはずで、私は探すことに専念する。 《キミ、何してるの? こんなところで》  不意に見知らぬ人に声をかけられた。私の低い視界に、白い靴を履いた足が映る。 《もしかして、迷子?》  続けて問われ、おずおずと視線を上げた。  ……え。  目の前に立つ彼を見て、思わず表情が固まった。彼の身なりを一文字で表すとしたら、白、だ。白い肌に白銀の髪、前髪の隙間からのぞく瞳は青紫色で、上下揃いの白いスーツを着ている。そして背中に見えるのは大きな白い羽。 『天使?』  童話なんかに載っているイラストでしか見たことはないが、一目見てそうだと認識できる。頭に輪っかは載せていないようだけど、天使だ。
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