ep4.リングをひろって

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『なんで天使が? っあ、もしかしてコスプレ?』  彼が放つ異様なオーラから、生きている人間とも思えなかったが、つい冗談めかして尋ねていた。  天使は呆れて息をつき、胸ポケットから楕円形の機器を取り出した。それを慣れた手つきで操作し、私に向けてくる。まるで電子体温計で熱を測るみたいに。 《キミ、坂下(さかした) (みお)さんっていうんだね。見た目が丸い魂だから分からなかったけど、女の子か。歳は二十歳(はたち)……あ〜、でももうすぐ二十一なんだ? 死亡者リストにも載ってないし、まだキミの体は生きてるねぇ》  え。 《ああ、そうか。ここで事故に遭って、体だけ先に病院に運ばれたんだね。搬送先の病院まで送って行こうか? ちょうど手も空いてるし》 『……な、』  機器ひとつで私のことをぽんぽん言い当てる天使に、少々面食らっていた。 『でも私、ここでどうしても見つけなければいけないの。あれがないと、彼氏と仲直りできないのっ』 《そのあたりの事情は察するけど……。魂が長く本体から離れるのはいけないな。このまま死んじゃってもいいの?》 『……それは』  天使は私のそばにしゃがんだ。彼から見れば、私はどうやら丸い球体で、人の姿ではないらしい。言い淀む私を見て、天使がフッと微笑んだ。 《じゃあ。キミになにがあったのか、なにを探しているのか話してくれる? 迷子の魂を本体に還すのはそれからでも遅くないから》
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