ep4.リングをひろって

9/18

21人が本棚に入れています
本棚に追加
/169ページ
《とにかく。ボクが言えるのはできるだけ早く病院に行くこと。その指輪をね? キミの本体(からだ)は無事に手術を終えて、市立病院の303号室で眠っているから》 『……え』 《待ってるからね?》  早口で用件だけ告げると、急に天使の姿が見えなくなった。リモコン一つで消したテレビのように、一瞬にして消えてしまった。  なんで? どういうこと? 第一、見つけても私じゃ拾えないんでしょ?  突然放り出された迷子のように、オロオロとまごついてしまう。  そのとき、不安定に揺れていた視界が急に固定され、私は首を傾げた。  あれ? さっきとは違う? 何か……違和感を感じるような。しゃがみ込んだままの視界に、うっすらと自分の手のひらが映った。  生きていた頃のように手が見えて足が見えて、体があるように思えるけど。お化けには違いないんだよね? 『どうなってるの?』  今までは確かに丸い魂だけのはずだったのに。 「……え、澪??」
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加