21人が本棚に入れています
本棚に追加
/169ページ
《とにかく。ボクが言えるのはできるだけ早く病院に行くこと。その指輪を誰が拾ったとしてもね? キミの本体は無事に手術を終えて、市立病院の303号室で眠っているから》
『……え』
《待ってるからね?》
早口で用件だけ告げると、急に天使の姿が見えなくなった。リモコン一つで消したテレビのように、一瞬にして消えてしまった。
なんで? どういうこと? 第一、見つけても私じゃ拾えないんでしょ?
突然放り出された迷子のように、オロオロとまごついてしまう。
そのとき、不安定に揺れていた視界が急に固定され、私は首を傾げた。
あれ? さっきとは違う? 何か……違和感を感じるような。しゃがみ込んだままの視界に、うっすらと自分の手のひらが映った。
生きていた頃のように手が見えて足が見えて、体があるように思えるけど。お化けには違いないんだよね?
『どうなってるの?』
今までは確かに丸い魂だけのはずだったのに。
「……え、澪??」
最初のコメントを投稿しよう!