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ハテナで埋め尽くされた脳内が、即座に反応を示した。なじみのある声は、私が大好きでたまらない人。
『湊……なんで?』
振り返った先に立つ湊に話しかけた。彼は私を指差し、怪訝な顔をしている。
「なんか今、いきなり現れた気がしたんだけど?」
『そ、そう?』
事情を説明できずに言い淀む。
『てか、湊って実は霊感あったんだね?』
「はぁ?」
いまいち噛み合わない会話に、若干の間が空いた。
湊がバツの悪そうな顔で頭を掻く。
「俺は。昨日の指輪が、気になったって言うか」
『え』
それじゃあ、私と同じ理由で探しに来たってこと?
「お、お前こそっ、別れる、とか言っておいて。指輪探しに来たんだろ?」
『……ん』
それ以上の言葉が思いつかず、ただ深く頷いた。
「澪は。思い込みだけで、すぐ突っ走るけど。俺はそういうとこも好きなんだよな」
ほんのりと頬を染めた湊が私に近づき、手を伸ばした。
『っストップ!』
私は慌てて声を上げた。
「な。なんだよ?」
彼の手が、私の姿をすり抜けてしまうのを想像し、眉を寄せた。
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