ep4.リングをひろって

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『指輪っ、見つかったの!』 「……は?」 『ほらっ、あそこ! あの葉っぱに引っかかってるやつ!』  湊の注意を引くため、大袈裟に指を差した。 「あ、ホントだ」  彼の手が植え込みを探り、指輪を拾ったのを見届ける。ハァ、と安堵の息がもれた。 「あのさ、澪。昨日も言ったけど、ちゃんと誤解、」 《……RRRRR.》  湊の声に割って入ったのは、スマホの着信音だ。しつこく鳴り続ける電子音に、彼は舌打ちをついた。 「こんなときに、ごめん、澪」 『ううん』  ズボンの後ろポケットから出したスマホを見て、湊の顔に戸惑いが浮かぶ。 「も、もしもし?」  動揺した瞳を私に据えたまま、彼は電話を繋ぎ、「っえ! 澪が!?」と驚愕をあらわにした。 「っそんなはず……、だって澪は」  言いながら見開いた瞳が、こちらへ向けられる。一瞬にして青ざめた顔をし、彼はスマホを持った手をぶらりと下ろした。電話は一方的に切られたようだ。 「澪が……、事故に遭って。意識が戻らないって。今おばさんから」  湊は不審な目で私を見ていた。 「けど。だって、澪はここに……」  そう言って伸ばした手を、今度は拒まずに受け入れた。右手の薬指に嵌めた彼の指輪が鈍く光った。案の定、彼の手が私をすり抜け、空を掴む。 『ごめん、湊。指輪を探してるときにちょっとヘマしちゃって。今は見ての通り、お化けなの』
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