ep4.リングをひろって

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 ピクリとも動かない私のそばに腰を下ろし、母が私の手を握っている。 「っあ」  不意に母の鞄でスマホが振動し、母は慌てて病室を出て行った。  誰かから電話? お父さんかな?  何気なく自分の体に近付いたとき。急にプツンと音がし、何となく体が軽くなった。 《やぁ、ちゃんと戻って来たね?》 『っあ、天使!』 《見つけた指輪は……あの彼氏くんが拾ってくれたんだね、良かったね》  ありがとう、とお礼もそこそこに、私は気になっていたことを尋ねた。 『なんでさっき、急に消えたの?』 《うーん……別に消えたわけじゃないよ?》 『えぇ??』 《ただ、キミには天使(ボク)の存在が見えなくなっただけで、ボクはあのあとしばらくキミ達を見ていたんだよ》 『私には見えなくなったって……一体どうして』  天使の言っていることがいまいち理解できず、首を捻った。 《……“想いの糸”がもたらした作用だよ》 『おもいの、糸?』  聞き慣れないワードに更にハテナが増える。 《そう。互いに想い合う相手がそばにいると現れる糸で、その糸と結ばれた相手には霊体であるキミが見える。反対に、キミはそれまで見えていた天使(ボク)が見えなくなる、そんな働きをする糸だよ?》 『そう、なんだ』
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