ep4.リングをひろって

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 ◇ Epilogue  それから数日後。私は退院日を迎えた。病院で退院の手続きをする母と帰路を別にし、湊と手を繋いでゆっくり帰ることにした。  途中、公園に寄り、噴水近くのベンチに腰を下ろした。清々しい夏空が頭上いっぱいに広がり、大きく深呼吸をする。右手の薬指に嵌めたシルバーリングを見つめ、自然と口角が上がった。 「退院おめでとう」  自販機で買ったオレンジジュースを差し出し、湊が隣りに座った。 「うん、ありがとう」 「あと。二十一歳の誕生日おめでとう」  彼の台詞にキョトンとなり、目を瞬く。 「あ、今日……?」 「うん、七月二十日。澪の誕生日」  覚えててくれたんだ。湊は鞄の中を探り、ピンク色のリボンが掛けられた手の平サイズの箱を「どうぞ?」と言って手渡した。 「ありがとう。開けるね?」  彼が頷くのを見てから蓋を開ける。小さな赤い石が埋められたハートのネックレスだった。 「……可愛い」 「だろ? いかにも澪っぽいと思って」  得意げに笑い、湊が実際に付けてくれる。 「うん、似合ってる」 「ありがとう」
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