前園 美晴 1

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 自分の願いを叶えるには、本やメディアを通して豊富な知識を吸収しなければいけないのだろう。急がば回れ。全くこれに尽きる。  私の脳みそ、もっともっと活性化しろよ。バカは大成できなくて当たり前なんだから、もっと踏ん張ってあがいて、勉強しろ。無言で喝を入れ、結局のところは堂々巡りだ。  持ち込んだ月刊誌を手に取り、再びページをめくると、「そういえば今日、部長は?」とキョンちゃんが今思い出したように呟いた。 「部長先輩は進路指導だから今日は休みだよ。昨日言ってたじゃん?」 「そうだっけ?」  一年歳上の長谷部(はせべ)先輩は、正規メンバーのひとりであり、男子部員だ。文学を愛し、本の虫と揶揄される彼は、作家志望だと聞いている。私は部長を務める彼のことを尊敬し、兼ねてから部長先輩と呼んでいた。  キョンちゃんと二人で漫画を読みながら平穏な時間を過ごし、ふと棚の方に目を上げる。デジタル時計が並べる、512の羅列を見て、エンジェル数字だ、と胸中で呟いた。 「五時十二分か。そろそろ帰る?」  キョンちゃんに促され、私たちは荷物をまとめて部室を出た。昇降口で靴を履き替えながら、帰りに区立図書館に寄ろうと考える。  今日は金曜日で土日は休みだし。興味のひかれる本を数冊借りて週末に読もうと、頭の中で計画を立てる。
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