前園 美晴 1

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 正門を通り過ぎたところで、キョンちゃんと別れ、どんよりとした空を仰ぎ見た。  最悪。雨が降りそうだ。折り畳み傘などの雨具は、あいにくのところ持っていない。自然と小走りになり、図書館までの道のりを急いだ。  高校にある図書室の、何倍もの広さをうろうろと歩き回り、三冊の本を借りた。通学鞄にきちんと仕舞い、自動扉をくぐる。  分厚い雲を重ねた空は、案の定、そこら中に細い雨粒を撒き散らしていた。内心で舌打ちをついた。ここで足止めを食うのは嫌だ。時間がもったいない。それに、天気のせいで薄暗いけれど、まだ小雨程度で本降りにはなっていない。  こうなったら走って帰ろう。瞬時にそう判断し、鞄を抱き抱えるかたちで足を踏み出した。  数段を駆け下り、左手側の、少し進んだ先にある横断歩道に目を向ける。自宅へは、向かいの道路を渡って右に進むし、わざわざ遠回りする手間を考えると余計に濡れてしまう。躊躇いは一瞬。  仕方ない。交通量も多くないし、そのまま突っ切ってしまおう。  左右をよく確認する。車のヘッドライトが途切れた瞬間を見計らい、勢いよく一歩二歩と踏み出すのだが。突如として、視界の右端から強い光源を感じた。  しまった! 気づいたころには、時すでに遅し。曲がり角から出てきたバイクのドライバーが焦燥をあらわにしている。
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