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「あくまで漫画だから、条件に当てはまらないのは当然なんだけど。1は違うよね?」
『はい。だと思います。私と沙織さんは今日が初対面なので』
「うん。だとしたら、どうしてこんな状況になってるかの原因自体は突き止められない。だから、糸を切るための方法を試すのが先決なんだけど」
『わ、私の体が死んだら切れるってことですか?』
書かれた文章を見つめ、途端に怖くなった。
「これを信じるならそうだけど。反対に言えば、糸があるってことは、まだミハルちゃんの体は生きてるってこと。つまり今は幽体離脱してる状態。だから病院に運ばれたと思われる、あなたの体に近づけばいいんだと思う」
『な、なるほど』
私の体はまだ生きてるんだ。そう思うと、安堵の吐息がこぼれた。
『なら、善は急げ、ですよね? 私の体がある病院を探して、そこへ向かえば』
私は声を弾ませ、沙織さんを促すのだが。彼女は憂鬱そうに眉をしかめた。『沙織さん?』と呼びかける。
「ごめんなさい。明日の朝には、あなたを病院まで連れて行くって約束するから。それまで時間もらえないかな?」
『……え』
どうしてそういう流れになるのだろう。ただただ疑問に思った。彼女の意図するところがわからず、首を傾げる。
「さっきも言ったけど、次回作を作るために、今ものすごく焦ってる」
『あ、はい。〆切間際、なんですよね?』
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