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「ええ。あと三日と数時間なんだけど。担当には明日の朝までに、次回作のジャンルを決めておくように言われてる」
え、と表情が固まり、私はパソコン画面に浮かんだデジタル時計に目をやった。19:13となっている。『ジャンルって』と呟き、恋愛じゃないの、と首を捻る。
「ミハルちゃん。私の漫画を知ってるってことは、月刊MOCHAの読者だよね?」
『はい。MOCHAは愛読書です。最新号も読みました』
「じゃあ、私の漫画が秋号で終わるのも知ってる?」
『……はい。“あなキス”、私は好きなんですけど』
「そっか、ありがとう」
しんみりとした様子で笑みを浮かべ、沙織さんは目を伏せた。
「でも、“羽野詩織の恋愛漫画はもはやオワコン”、SNSなんかではそう噂されてる。次回作も誌面で長期連載したければ、連載会議にプロットと百ページぶんのネームを出さなければいけないんだけど……あ、ネームってわかるよね?」
『はい。コマを割って絵を描いた、漫画の下書きですよね。私も描くからわかります』
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