前園 美晴 2

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「そう。とにかく、四日後にはネームを完成させなきゃなんだけど。そもそも連載会議に出せるかどうかは、担当だけじゃなく、編集長にもオッケーをもらわなきゃいけない。ベテラン作家って贔屓は多少あるかもしれないけど、それは読者アンケートやネットでの評価が良かった場合。つまり。今私は崖っぷちなの」 『っえ、羽野先生が??』 「担当からはジャンル変更をして、ファンタジーを描けって言われてる」  恋愛漫画家の大御所である羽野詩織先生が、ファンタジー?  驚きから、私はなにも言えずに口をぽっかりとあけた。嘘みたいなジャンル変更だが、それはそれで読みたい、と思う。羽野先生が描けば、きっと面白いストーリーができあがりそうだ。 「デビューしてから何年も漫画家やってるけど。私、ファンタジーは描いたことがなくて、正直言ってサッパリなの。けど、今私たちに起こってる現象ってファンタジー以外の何物でもないと思うんだよね」 『そう、ですね』 「だから。私と離れられずに、もし、この状態が続くって言うなら。朝まででいいから、ミハルちゃんに協力してもらいたいの」 『協力? 私が?』  強い眼差しで頷く沙織さんと、正面から目が合う。
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