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花純さんは淡いパステルカラーのワンピースを着ていた。結んでいた髪も下ろし、可愛く整えている。
僕はチラチラと彼女を見て、また複雑な気持ちになった。ワンピースの下に潜ってみたいと言ったら、さすがに怒られるかもしれない。
「私、朝ごはん食べに一階に降りるけど。ゴウくんどうする? 付いて来ても良いけど、食べれないよね?」
『……そりゃあ、死んでますからね』
「うーん……。部屋で待ってる?」
僕はしばし考えたあと、『行きます』と答えた。と言うか、行かざるを得ない。僕は花純さんから離れられないんだから。
エレベーターに乗り、花純さんに朝食を食べに行くとはどういう意味かを尋ねた。部屋で食べないの、と。疑問に思ったのだ。
花純さんは一人きりであることを確認して、ニヘラッと笑う。
「学生プランでこのマンション借りてるんだけどね。特典として毎月三十日分の朝食券が付いてくるのよ、すごくない?」
『はぁ、確かに』
「時間制限があって、八時を過ぎたら使えないんだけどねー」
なるほど。要するに、遅刻をするような不真面目な学生は特典を受けられないということか。
『……あの』
「ん?」
『花純さんは専門学生って言ってましたよね。どんな分野の学校ですか?』
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