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牧野 沙織 2
ジャンルをファンタジーとしたお話を創る。その前に、今起きているファンタジーそのものを忘れないよう、ノートに書き留めておこうと考えた。ただ、これをそっくりそのまま漫画にしちゃうと、和倉先生のパクリだと言われかねない。なので、あくまでも私個人の備忘録として付けた。
肌は青白く、色素の薄いミハルちゃんを前に、様々な質問を重ねる。彼女が事故に遭うまで、どんな時間を過ごしてきたのか順を追って話してもらい、幽体離脱をしたときの状況と感覚も興味深く聞きながら書き留める。ミハルちゃんは、一瞬で私の車に乗り込んでしまったと言っていた。
聞き取りを続けながら、若干肩のあたりに重さを感じた。ここのところ、仕事のせいであまり寝ていないし、肩が凝っているのも当然だ。
「そういえばミハルちゃんはさ。漫画家志望だって言ってたよね。投稿歴なんかは?」
『あ、あります。MOCHAの漫画セミナーに三度応募して、三度とも選外でした。正直落ち込みましたけど、これといった原因がわからないので、モチベーションも下がる一方で』
確かにそうだよね、と相槌を打つ。
『あの。私、まだ絵も下手なんであれですけど。選外になる原因はストーリー構成にもあると思ってて。できたら、羽野先生に駄目だししてもらえないでしょうか?』
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