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『はい。俄然無理な話です。あとは、お正月に神社にお参りしたり、七夕の短冊を吊るしたり。バースデーケーキのロウソクを吹き消す前にお願いする、っていうのもありますよね。どれもこれも迷信だと思いますけど、夢があると思います』
そう言った彼女の目が生き生きとしていて、不意に胸が熱くなった。ミハルちゃんにそんな物語を描いて読んでもらえたらな、となぜか思ってしまう。夢のある話を。
「あ。そういえばさ」と言い、脈絡なく浮かんだ彼女の行動を思い出す。気になって尋ねてみる。
「ミハルちゃん。私の車から降りたとき、フロントバンパーを見て驚いてなかった?」
『フロントバンパー……?』
「車の前のほう」
『ああ!』と彼女が口角を上げ、納得した表情を浮かべる。
『沙織さんの車のナンバーが、512なので、私のエンジェル数字ですごい偶然だなぁと思ってました』
エンジェル数字……?
「え。なにそれ。聞いたことないかも?」
興味を惹かれて見つめ返すと、ミハルちゃんは少し恥ずかしそうに頬を緩めた。
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