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それにしても、食いすぎだ。一体その細い体のどこにあれだけのご飯が入るんだ?
エレベーターの扉が開き、僕は彼女に続いて乗り込んだ。八階の部屋に戻り、彼女はいそいそと出掛ける準備を始める。
「ごめんね。ゴウくんのこと、いろいろ調べてあげたいんだけど……帰ってからでもいいかな?」
『……え?』
何のことを言っているんだろうと思い、首を傾げる。
「ほら、昨日寝る前に言ったじゃない?
ゴウくんと同い年の子の死亡事故の記事がニュースになってるはずって。学校が終わったらちゃんとパソコンで調べるから、それまで待っててね?」
『……あ、はい』
「何かしら成仏できる方法が、絶対あるはずだから!」
彼女は彼女なりに、僕を無事に成仏させてやろうと考えているらしい。
どこの誰かも分からない赤の他人なのに、善良な人なんだな。つい花純さんに好感を抱いてしまう。
少なくとも、神社でお祓いをするようなことにならなくてホッとする。
チャンネルを手に、花純さんがテレビを点けた。朝の情報番組がやっている。観るために点けたのかと思いきや、音声をBGMにして聞き流している。
ピンク色のコタツテーブルに鏡を置いて、今現在、彼女は化粧をしている。
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