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「これがもし冤罪だったとしたら、たまったもんじゃないよね。逮捕されてから五十年経っても、終わらないんだよ。もちろん、悪いことをしているのならちゃんと償ってほしいけどさ。無実の罪を着せられているのなら……いい加減解放してあげてって思っちゃうな」
花純さんとしては、独り言のような呟きだったのかもしれない。
無実の罪。冤罪、と考え、僕の頭の中に、ある歴史的事実が思い起こされた。
『そういえば。前に本か何かで読んだんですけど。百年以上前にも酷い冤罪事件があったらしいですよ。確か、充分な証拠もないのに逮捕されて、即日に死刑が執行されたって。国策の冤罪捏造事件とかなんとかって』
そう言った矢先、ずいと顔を寄せられた。
「すごいね。今どきの小学生ってそんな難しい本読むんだ?」
『……え』
「ていうか、そういう記憶はちゃんと残ってるのね?」
『確かに。言われてみれば……』
花純さんは腕を組み、うーんと首を捻った。とある漫画の探偵坊やみたいだと言われ、僕は首を傾げる。そして何かを思い出したように彼女は「あ」と声を上げた。
「さっき、私に聞いたよね? 何の分野の学校かって」
『あ、はい』
「コレよ?」
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