3、4日目

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「私、(すめらぎ)さんと仲良くさせて貰っていた花屋の者なんですが。お見舞いをしたいので病室を教えてもらえませんか?」 「……申し訳ありませんが、患者さんはフルネームでお伺いしております」  あの、とそこで彼女が言い淀む。 「皇 駿くんのお母さん、としてしか認識していなくて。ごめんなさい」  女性はジロリと花純さんを見て、しばし考えた後、「少々お待ち下さい」と言ってパソコンを操作した。 「(すめらぎ) 静子(しずこ)さんですね。ちなみに駿くんが亡くなったことは……?」 「はい。存じております。なので、お悔やみだけでも言いたいんですけど……やっぱりまだ日が浅いから、難しいですかね?」  受付の女性は眉を下げ、微かに口角を上げた。 「そうですね。できれば駿くんの話題は避けて貰えるとありがたいです」 「分かりました」 「それでは、四階北病棟の405号室になります」と言い、受付の女性はまたパソコン画面に目を移した。  小さな花束を持つ花純さんに続き、エレベーター前までの廊下をフワフワと歩く。当然、花純さんは一人で歩くようにズンズンと進み、一度も振り返らない。  エレベーターの扉の前で並んだ僕をチラ見して、彼女はほぅと安堵の息を漏らした。
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