3、4日目

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 扉が開き、四角い空間に乗り込む。僕と花純さんだけかと思いきや、隅に一人のおじさんが立っていて、おじさんは目の合った僕を見てビクッと肩を震わせた。  え……?  おじさんはよく見ると、丸く青白い光の粒をいくつも纏っていて、生気のない目をしていた。  あ。死んだ人なんだ。  瞬間に判断して、僕は仲間意識でペコッと頭を下げた。おじさんも慌てて会釈を返してくれる。エレベーターが四階で止まり、おじさんが手を振ってくれるので振り返す。  あのおじさんも。成仏できないのかな……?  とても他人事とは思えず、何とも言えない重苦しい気持ちになった。  受付で聞いた405号室の前まで来て、僕は花純さんを見上げた。彼女は引き戸の持ち手を苦しげに見るだけで、一向に入ろうとしない。ショルダーバッグの紐を両手でギュッと握り締めている。 『花純さん……? 入らないの?』  彼女は扉の前から後退りをして離れ、ベンチの置かれた談話室へと向かった。部屋には誰もいなかった。 「ごめん、ゴウくん。私は行けないや」 『え……?』  花純さんは虚空を見つめたまま、悲しそうに眉を下げた。 「元々知り合いだっていうのは嘘だし。静子さんがお子さんを亡くされたのは三日前。そんなの、申し訳なくて。やっぱり、行けない……っ」
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