3、4日目

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 駿くんは眉を潜めて、やはり首を傾げる。 『なんで自分がだれか分からないの?』 『え…』 『じょうぶつってさがすものじゃないよ? おむかえが来るんだから」  え。それは、一体? 『ていうか。オモイノイト付いてるじゃん?』 『……は?』 『背中』  駿くんの言っている事がいまいち理解できなくて、僕は自分の背中を見ようとする。変わらずに白い糸が見える。 『この白い糸のこと?』 『そうだよ。“想いの糸”。ぼくも少しのあいだだけ、お母さんとつながってた』  想いの糸……。 『今は?』 『今はもうないよ。もうじき天国に行くから』  そう言って駿くんは無邪気に笑う。けれども、その笑顔もやがては萎み、彼は心配そうな瞳で母親を見つめた。母親を残して逝くのが、心残りなのだろう。  駿くんの気持ちに同情を寄せるものの、僕はさっき聞いた言葉について考えを巡らせた。  何で駿くんにはもう糸がないんだろう? 天国に逝くから? 少しの間って、どれぐらいお母さんと繋がっていたんだろう? 分からないことだらけだ。  ていうか、天国って本当にあるんだな。  僕は黙りこくったまま、足元を見たり、天井を見上げたりしていた。 『あ、そういえばさぁ、天使のお兄さんが言ってたんだけど』  え!  駿くんの発言にまたしてもギョッとなる。 『て、天使のお兄さん??』
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