5日目以降

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「俺から言うのも何なんですけど…。レンがいつもバラを買っていたのは、お姉さんに対するアピールだったんです」 「……ア、ピール?」 「あいつ、不器用だけど。ロマンチストなやつで。一輪のバラの花言葉を毎週お姉さんに贈ってたんです」 「花言葉…?」  そこで篠原は恥ずかしそうに頬をかいた。 「レンが言うには……“ひとめぼれ”とか、“あなたしかいない”……だったかな」  不意に花純さんがドキッとするのが見て取れた。瞳を大きく見開き、唇を震わせる。彼女が想いを馳せてやまない王子さまを思い、グッと胸に手を当てている。  心を打たれずには、いられないのだろう。 「とにかく、そういうまどろっこしいことをする奴なんです。だから、レンの見舞いに行って貰えませんか? お姉さんが来てくれたら、あいつ、目ぇ覚ましそうな気がして」  篠原の語尾は微かに震えていた。彼も親友の意識が戻るのを、切に願っているのだろう。 「分かりました、行きます」  花純さんがしかと頷くと、篠原は「よかった」と言って表情に安堵を浮かべた。親友が入院する病室と名前を素早くメモし、花純さんの手に渡る。 「三階南病棟、302号室なんで」 「分かりました」  花純さんが小さく会釈すると、高校生グループは手を振って去って行く。
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