最終日

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 そこには天使がいた。真っ暗闇に満たされたガラス窓を背景に、真っ白に輝く天使が立っていた。  コントラストの効果で、まばゆい光に、一瞬目をすがめる。 《一時はどうなるかと思ったけど……ちゃんと帰って来てくれて安心したよ。おかげで“想いの糸”も切れた》  想いの糸が……?  彼の言葉を受け、試しに背中後方を見れる範囲で振り返ってみるが。あの白い糸はもうどこにも存在しなかった。  本当に、切れたのか? 僕は駿くんから聞いた言葉を思い返していた。  ーー『気付いたら糸が切れてて。そのあと天使のお兄さんがパァッてあらわれたの』  想いの糸が切れて、天使が出現した。  この彼は駿くんから聞いた使に違いない。 『天使、ですか? 俺を迎えに……来たんですか?』  天使の彼は《うーん?》と言って、首を傾げる。僕はまじまじと彼を観察した。  白い肌に白銀の髪、青紫の瞳で、上下揃いの白いスーツを着ている。大きな真っ白い羽を背中に生やしてはいるが、頭上に輪っかは乗っけていない。 《キミの記憶はまだ曖昧なんだね〜。説明とか正直面倒なんだけど……した方がいいよね?》  僕は少し考えてから躊躇いがちに頷いた。何だろう、なんだか気の抜けるような口調だ。
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