最終日

9/10

21人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
《キミがそう望んだからでしょ?》  え………? 《さぁさ、良い子は体に戻る時間ですよ〜、死にたくなかったらさっさと還りましょう!》  早く早く、と背を押され、霊体の僕にさわれるんだ? とまた不思議に思う。 『あの、戻るってどうやれば?』 《自分の体と同じ体勢で重なればいいの。それでパパっと入れるから》  早口の天使はやはり焦っている。問題を早期に解決したいのだろう。  仕方なく僕は天使の言う通りにしようと思い、ベッドで横たわる蓮に足と腰を合わせて座った。  そういえば。花純さんに何も言わずに出てきちゃったけど……大丈夫かな?  でも戻ったら二の舞になりそうだしな、と考えを巡らせていると天使が今思い出したように言った。 《あ、そうそう。言い忘れたんだけどさぁ。戻ったら全部忘れちゃうから》 『は……?』  怪訝な瞳を向けると、天使は事もなげに続ける。 《ゴーストでいた頃の記憶、忘れちゃうから》 『えっ! それって……?』 《もちろん、ゴーストのキミといた彼女からも、“ゴウくん"の存在は綺麗さっぱり消えちゃうから、問題はないよ? んじゃまっ、そこんとこヨロシク〜?》  ヨロシク〜って。んな軽いノリで言われても。  今すぐ戻るべきなのか幾らか躊躇っていると、天使がニヤッと笑い、僕の気持ちを後押しした。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加