最終日

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《記憶を取るか、生きた体を取るか、二つに一つ。頭の良いキミになら分かるよね? 何てったって、生きている人間には可能性があるんだから》  僕はハッとし、深く眠る蓮を見つめて、ゆっくりと体を倒した。  生きていれば未来がある。この先も続く、花純さんと同じ世界で生きる未来が……。  ゴロリと寝転がった体勢を取ると、それまで忙しなく機能していた思考が静寂に包まれ、何も考えられなくなる。  それは、溶けて消えていく感覚だったのかもしれない。  還って行くんだと思った。  然るべきところへ、あるべき居場所へとーー。
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