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毎回こんな感じでほとんどプライベートな会話はしないけれど、彼女の存在をすぐ近くに感じられるのが何よりの幸せだった。
彼女は今日も可愛かった、笑顔だった、そう思うだけで天にも昇りそうな気持ちになる。
名前も知らない人だけど、僕の気持ちは日に日に膨らみ、今にも溢れ出しそうになっていた。
*
「そりゃあもう、告白するしかないんじゃね?」
「こ、告白」
学校の正門を出たところで、樹に次へ進むべきだ、と指示を出された。
「さすがにもういいだろ。二ヶ月以上同じことを続けてるんだから、これ以上あっためてたらおまえがおかしくなるぜ?」
それはどういう意味だとツッコミたくなるが、ストーカーに変貌するとかそんな答えが返ってきそうで、別の問いにした。
「けど、何て言って告ればいいのか」
「ンなの、簡単じゃん? いつも通りバラを買って、ラッピングされたのを受け取ってから、改めて彼女に渡すんだよ。ふっ、実はこのバラはあなたのためです、とかってな!」
言いながら途中から樹が笑い出すので、僕はやつに横目を向けた。
「いや、悪い悪い。最後の言葉は蓮が考えればいーけどさ? 気持ちは絶対伝わるって。ファイト、ファイト!」
うーん。僕は鞄からスマホを出して、ネット検索を始めた。
「なんだよ、蓮。何調べてんの?」
「告白の台詞」
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