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「っかー! 真面目だねー? ンなの好きですってシンプルに言やぁいいじゃんよ?」
「よし、これにする」
「無視ですか?」
選んだ台詞を樹に見せると、「まぁ、妥当だわな」と共感してくれた。
“俺の彼女になって下さい”
この台詞だと、好きって想いも付き合いたいって気持ちも一言で伝わると思った。
五月最終の水曜日。それは何の前触れも無く、僕を襲った。
横断歩道に差し掛かる手前で、樹が「あっ!」と声を上げ、鞄の中をゴソゴソと探し始めた。
「悪い、蓮。教室にスマホ忘れたみたい。取ってくるから先に花屋に向かってて?」
「え」
言いながら既に走り出した樹が、「後で結果おしえろよー?」と叫んでいた。
仕方なくやつに右手を挙げて、僕は交差点へと足を踏み入れた。頭の中は、彼女に告白する手順を何度となくシミュレーションしていて、俯いて歩いていたのがいけなかった。
青だと思っていた信号が、渡り始めたときも青だったのか確認を欠いていた。
花屋のお姉さんに告白をして、撃沈しない場合に限り、連絡先もちゃんと聞いておこうと自身を鼓舞したとき。
パッパーッ、と激しく鳴るクラクションとブレーキ音が耳に飛び込んだ。
ハッと顔を上げたときには、既に手遅れ。僕は眼前に迫ったトラックに、見事に撥ねられていた。
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