21人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
Re.1日目
◇ ばらばらに弾かれたピースみたい
重いまぶたが開いたのは、部屋が白い光で満たされていたときだった。
ここは……どこだろう?
静かな空間に、鳥のさえずる声が響き渡り、鼓膜を刺激する。ふわりと白いカーテンが揺れるのを見て、窓が少し開いているんだと理解する。
ぼんやりとした視界で視線は宙を舞う。白い天井を見つめ、続いて点滴が吊るされた器具やらすぐそばで鳴る心電図計が目に留まる。微かに漂う薬剤の匂いから、病院か、と判断した。
緩慢な動作で片手を挙げると、腕に細い管が繋がれていて、「点滴」と呟いた。ハァ、と吐息をもらすと、口元を覆い被せたプラスチック製のマスクが白く濁った。
体がダルい。それにところどころが痛い。
頭の奥では未だに眠っているようで、思考がなかなか追いつかない。僕は一旦目を瞑って、何があってこうなったのかを考えた。
目を閉じた状態で思案するが、やはりよく思い出せない。状況から判断するに、僕は怪我人らしい。
頭には包帯らしきものが巻かれているし、左腕と足は……これ、折れてるのか?
俺は、いつからここにいたんだろう? どのぐらいの時間、眠ってた?
急に不安になってキョロキョロと瞳だけで部屋を見回した。時間の流れを示唆するものは何一つない。時計も、カレンダーも、何も置いていない。
最初のコメントを投稿しよう!