Re.1日目

7/15

21人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
 コラ! それじゃ駄目だろ、俺っ! せっかく見舞いに来てくれたのに、何か言わないと! 仮にも告白する予定だったんだから、彼女に気に入られる言葉の一つや二つ……。  熱くなった顔であれこれ思案していると、彼女が「あの、」と静かに言った。 「そっちに座ってもいいですか?」  えっ。  僕は彼女を見て、こくりと頷いた。彼女は僕が今までに何度も見てきた柔らかな笑みで近付き、隅に置いていた丸椅子を引き寄せて座った。  すぐそばに、あの人がいる。花屋の、お姉さんが。僕はドギマギしながら、改めて彼女を見つめた。  どうして、お姉さんがいるんだろうと不思議に思ったが。少し考えて樹が気を回してくれたに違いないと思い当たった。 「昨日……」 「ぅえっ??」  ドキッと肩が揺れ、思わず変な声を出してしまう。ヤバいヤバいヤバい……! 変なやつだと思われる! 「蓮くんのお友達の、篠原くんが花屋さんに来てくれて。お見舞いのお花を買うついでに、蓮くんのことを教えてくれたの」 「そ、そうだったんですか」  やっぱり。 「お見舞いに行くこともお願いされて。それで、図々しくも来てしまいました」 「えっ? いや、そんな……」  ていうか、樹、そんなことまでお願いしたの? グッジョブすぎるだろ!
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加