Re.1日目

9/15

21人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
 やっぱり夢、だろうか? 僕の願望から、彼女と仲良くする夢を見ていたのかもしれない。  頭を抱える僕を見て、花純さんは心配するが、大丈夫と笑顔で返した。 「もしかして。樹から何か聞きましたか?」 「いつき?」  花純さんの反応を見て、あっ、と思い直す。 「篠原のことです。その、俺がバラを買ってた理由とか……聞きましたか?」 「あの……。はい。少しだけ」  そう言って俯いた彼女の顔がたちまち赤くなるので、全てバレているのかと理解する。バレているのなら、それはそれで仕方ない。僕は両手をグッと握り締め、意を決して口を開いた。 「あの! 俺っ、花純さんのことが好きなんです。だから毎週、バラを一本買ってました。あなたに、俺のことを覚えて貰いたくて」 「っ、はい」 「俺、多分花純さんより年下だと思うんですけど。それでも良かったら、付き合ってもらえませんか?」 「はい……っ、私で良ければ、喜んでっ」  えっ……。 「い、いいんですか??」  花純さんは真っ赤な顔で、コクンと頷いた。 「私も、好き、だからっ」  うわ……っ、やべっ。まさかの両想い……?? 「私も。ずっとずっと……好きだったから、のこと」  って。うん……?? 「王子さま……?」  なにそれ? 「あッ! いえ。何でもないです、忘れて下さいっ」
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加