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今度はテーブルに置いた空き缶を見るとはなしに見つめ、お姉さんが眉を寄せる。
「天国ってことは。成仏させる必要があるのよねぇ……」
そう言って、「うーん」と腕組みしながら唸った後、ハッと何かを閃き、顔を上げた。
「そうか! 要はやり残したことがあるから、天国に行けなかったんだわ!」
『……やり残したこと』
「そうよ、キミはさっきどこかに行く途中だったって言ったでしょ? それがどこか分かれば……。つまり、ちゃんと行けたら成仏できるかもしれない、そういうことなんじゃない?」
真面目な顔で同意を求める彼女を見て、僕は首を傾げた。正直なところ、分からない、というのが率直な感想だ。
僕は、僕自身が分からないことをあれこれ思案しても仕方がないと考え、お姉さんに空いた缶の所在を尋ねた。
『ところでお姉さんは、お酒を飲んでいたんですか?』
「えっ!」
急所を突いてしまったのか、お姉さんは瞬時に顔を赤らめ、しどろもどろになった。
「の、飲んでたけどっ! 別に、そんなに……っ。よ、酔ってないわよ??」
え。
ああ……なるほど。
酔っ払いの戯れ言として受け止められた、そう思ったわけだ。
『いつもこんなに飲むんですか?』
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