それからの日々

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「細いかどうかは。今度蓮くんの目で確認したらいいじゃん?」  ……え。  花純さんは二本目のポテトをまた僕に食べさせて、妖しげに瞳を細めた。瞬間、顔の中心からカッと熱が生まれる。  くそっ、やられた。  これは誘惑ととっていいのか、単に僕を翻弄したいのかの判断がつかない。僕は赤くなった顔で俯き、「分かった」と返事をする。  二つに一つの選択肢を前者で希望し、無駄に期待してしまう。僕は都合良く解釈し、彼女の裸を見る権利を得たのだと思うことにした。  ちなみに、恋人たちのスキンシップで言うならば、手を繋いだのは僕からで、なんとキスをしたのは彼女からだ。抱擁に関して言えば、先に抱きついた彼女を僕が抱きしめたので判定はどちらとも言えない。とは言え、彼女が大胆なのは確実だ。  花純さんは僕が“ゴウくん”としてそばにいた期間があったせいか、ときどき僕を可愛がるような節があり、行動も大胆になる。僕が負けじとそれに反発するので、彼女は諦めて僕に合わせてくれる。 「これなんだけど、どうかな?」  トレーの上を食べ尽くし、僕は花純さんから受け取った“ネーム”というものを読ませてもらった。漫画を描く際に通る手順で、原稿用紙に描くものの下書きだと理解した。
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