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誤解されたままだけど、特別言い換えることもなく、僕は質問を重ねた。
「ち、違うわよ! 今日は特別。
嫌なことがあって、凹んでたから……ついヤケ酒しちゃったの」
『失恋ですか?』
お姉さんは、う、と顔を歪めた。
「別に、そんなんじゃない。って言うか。キミ子供だと思ってズケズケと聞きすぎじゃない?」
『……はぁ。すみません』
しおらしく謝ると、お姉さんはそれ以上何も言えないのか、グッと唇を引き結んだ。
「とにかく。失恋なんかじゃないわ。ただ……好きな人がお店に来なかったから、へこんでただけで」
『……お店』
気になる単語を拾って呟くと、お姉さんは嘆息し、詳細を話してくれた。
「私、週二でバイトしてるんだけどね、って。バイトって分かる?」
『正社員ではないアルバイトのことですか?』
「そ、そう。よく知ってるね? アルバイトとしてお花屋さんで働いてるんだけどね、毎週水曜日に来るはずの……“赤いバラの王子さま”が来なかったのよ」
花屋。水曜日。赤いバラ。お姉さんの言葉を単語として拾い上げ、僕は尋ねた。
『赤いバラの王子さまって何ですか? 何かのグループですか?』
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