ep2.生まれ変わりの条件

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 ◇ 天使業と想いの糸  僕たちは天界人、いわゆる天使と呼ばれる存在で、外見は前の世で生きた人間がモチーフとなっているらしい。天使は神様によって、魂を選別されて創られるそうだ。皆、なりたくてなったわけではないが、特別不満もないと聞く。ただひとつ、名前がないのは不便だ。 《ボクはもう百年以上も天使をやっているけれど。今のところ生まれ変わりたいなんて思っちゃいない。天使業は思ったよりやりがいがあるし、退屈や空腹とも無縁なんだぜ?》  そう言ってドヤ顔で今日のリストを配るのは、僕の魂を迎えに来てくれた先輩天使だ。彼からは沢山のことを教わった。業務の一環はもとより、嘘か真実(まこと)か、天使の羽が持つ都市伝説的な効力も世間話として教えてもらった。 《この間なんかは、つい生きてる魂を拾っちゃって大慌てしたよ》 《生きてる魂?》  未経験なことなので、僕はことさら彼の話に食いついた。 《そっ。つまり幽体離脱して元の体から離れちゃった魂のことね。死亡者リストにないから勿論送れないし、元の体に還すのがベストなんだけどさー。その魂がある人間とで繋がっちゃって、もう面倒くさいの何のって!》  大袈裟にため息をつく先輩の苦労を想像し、僕にも嘆息が移る。
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