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昼前、二階で兄ちゃんたちが机に向かっている頃、俺とチーは母ちゃんにお使いを頼まれた、明日使うものの注文だ。
チーを連れまずは魚屋へ。
「こんにちわ」
いらっしゃい。
「おっちゃん、これ!」
どうしても持って行くと聞かない干した魚を持って来た。
オー坊主、ひくひくと鼻と髭が動き、しっぽがものすごいことになっている。
「うおー、これが、すごくいい匂いじゃねえか」
でしょでしょ、でもまだ重いんだよねという。もっと軽く、硬くなるという。
「これどうやって食うんだ?」
削ってもいいし、砕いてもいい。
削るのか、とおじさんはナイフを持ってきて、器用に削り始めた。
何にでもかけてしょうゆをかければいい。そのままでもおいしいよ。
「そんなのでいいのか?」
ここまでは俺が説明。
現物を見ていただきましょうか?
「これはなんだ?」
お米です。
「米?」
そう、おにぎりです。
この緑色のは?
わかめを粉にしたものです。
「まあ、食ってくれよ」
おにぎりを割ってみている。中には茶色い木くずのようなもの、かつおぶしのお握り最強だよね。
「うんめー」
「猫まんまだもん」
「猫まんま?」
口に手を当てたチー。
また変な事をいったなというと舌をペロッと出した。
そして削った、鰹節を口に入れ目をまん丸くした叔父さん。
「母ちゃん、母ちゃん!」
「うるさいねー全く、おやジャル、珍しいね」
買い物。
そうかい。
そしてチーを見ると抱き締め、この間はありがとうねといってた。
「母ちゃん、これ食ってみろ」
「なに店先で、クンクン、いいにおい」
だろ、ほら。
一口食べて、目がまるくなった。
カット開いた眼。尻尾がピーンと立った。
「にゃんだこれ!」
にゃんになったというチーに俺はハハハと笑うしかなかった。
作り方を教えた。
アジは干物と同じように下ごしらえをしておく。
カツオはいらないところを切り落とし血合いなんかもとって、塩をいっぱい入れたお湯で軽く煮る。それを風通しのいいところで干す。
そしていぶす作業。
「へー、案外簡単なんだな」
「でもここまで硬くするのは、今みたいに乾いた風の吹く時期が必要なんだよなチー」
うん、うん。
「へー、ここまで硬くなりゃ保存できるってわけか」
「おっちゃん、これもたーて」
食べろってか?
むっ、これはなんだ?
「昆布」
「佃煮ってやつ、はちみつとしょうゆで煮たんだ、中の粒粒は山椒っていうピリピリしたもんだよ」
「まじかよ、母ちゃん」
「うまい、父ちゃん、この子、うちの救世主だよ」
「ああ、冬の何にもない時期に、ありがてー」
「でさ、これを母ちゃんから」
「なんだい?」
ムール貝、エビ、イカ。マグロ?小さいのでいいから一匹だって?
おい、こっちは鮭に鱒?樽に一つだとよ。
「こんなにたくさんどうするんだ?」
「保存食!」
「え?」「は?」
「よくわかんないんだけどさ、こいつが作るんだって言うから」
二人は、顔を近づけた。
「チーそれはいつだ!」
「チイちゃん、お金はいい、それ教えてくれないかい?」
「いいよ」
明日、材料をもってきてくれればいい。それに、冬の魚は保存ができる物が多いから持ってきてくれば教えてあげると話した。
二人は大喜び。
「帰るぞ」
「あい、バイバイ」
頭を下げて、もちろん、鰹節とアジ節はあげてきたよ。
「おじさーん」
「こんにちわ」
「おージャル買い物か?」
ここはお肉屋さんです。
おー、ガラスケースだというチーは顔をベッタリつけて覗き込んでます、知らないお肉もあります。
「これお願いしたいんだ」
魔物の名前を言っていますがよくわかりません、難しいんだ。
豚と牛、肉を叩いた分?叩くだ?といっています。
「あのさ、細かく」と言いかけた俺の横から。
「ミンチ‼ひき肉!」
「なんだ、ミンチにすりゃいいのか」
「できるの?」
「あた暴よ、明後日の朝まで出いいんだな」
「うん……」
「まだなんかあるのか?」
「実は」なんだか恥ずかしくて、骨は捨てるものだと思っていたからさー。
「骨下さい」とチサはにこにこして大きな声でいぅたのだ。
「骨?おい、そのチビはなんだ、弟じゃねえよな」
説明は大変だよ。
「あー、あの時の子か、そうか…… よっしゃ注文は受けた、任せとけ」
「おっちゃん」
「ん?まだようか?」
「それ、めーめーさん?」
チーが指さしたのはぶら下がっているソーセージです。
「おー、これは羊の腸に入れたやつだ」
チーはいつものポーズで考え中。
「ニーニ、保存、どれくらい?」
「ああ、おっちゃん、これってどれくらい持つ?」
「持たねえよ、三日がいいところだ」
「焼くの?」
「ああ焼くよ?」
「茹でないの?」
「ハハハゆでたら破けちまう」
・・・・。腕を組んでます。
「チー?」
これほしい。
「でも今日お金は」
「これ」腕を指しました。金の髪の腕輪。
「いやーそれは」
「なんだ?」
頼んでおいて、ひき肉と一緒じゃダメかと聞いた、この間のウィンナーソーセージあれがおいしかったからな。
んー。
ニーニ、お願い。
「おっちゃん」
「ん?」
相談なんだけどさ。
豚肉を二百グラム、牛を百グラム、それと、豚の脂身だけを百グラム、安い魔物で代用できないか聞いた。
「オウ、そんなことか、できるぞ」
「じゃあさそれを全部ミンチにして、このチョウを三本、追加でお願いします、あー母ちゃんのとは別で、お金はその時に」
驚く叔父さん。
「ああ、ジャル、お前も立派な料理人だなー」
「まだまだ、じゃあ、よろしく」
「おう」
ニーニ、いいの?
任せとけというけど、お金はちょーに言ってね。
大丈夫と頭を撫でた。
「次は野菜だな」
「おー!」とこぶしを空に向かい突き上げるのでした。
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