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その頃、チーを連れた母ちゃんは、近所の人や、話を聞きつけた人達と近くの森へ来ていました。
ここは長老の持っている土地で、誰でも入れます、ただ住むことはできないので屋敷の人が見回りをしています。
なんでかって?
ここは大事な木がいっぱいあります。とくに、教会にもある糸杉はいろんな事に使われるからとても大事なんだ。勝手に切られないようにするための見張りでもある。
チーもだいぶ体調が戻り、子供たちも多いので、大はしゃぎです。
「「「わー!」」」
「走らない」
「転ぶわよー!」
山に行けなかった人たちはピクニック気分です。近所に食べるものがあると思えば、そりゃ行きますよね。
「おー、ある、ある」
「くちゃい!」
「くさーい!」
「でもこれうまいよな」
「ホコホコしてるよね」
「それじゃあ準備ゴー!」
「「「ゴー!」」」
銀杏がいっぱい落ちています、子供たちも拾います。
説明はしました。だから対策はばっちり、みんな鼻を布で隠します。
そしてこれ、竹で作ったトングです。
これで取ればいいもんね。
取ったのは、臭いから触らないで、いらない布の袋に入れて水の流れている場所へジャボン、モミモミ、種だけ取り出し水洗い、ぬめりを取ったら乾燥。
では、前もって乾燥させたものです。ペンチがあればいいんだけど、ないから、金づちで。コン。
パキッ。といい音がして割れ目が入りました。
これを、いります。
みんながフライパンを覗いています。
口が割れ、湯気が出ます。
飛ぶけど、注意してもう少し口が開くまで炒ってやります。周りは焦げてもかまいません。
あかないよー。
そしたら、硬いので、金づちでこういうものは、ゴン。パキッ。
「ほら」
「きれいだね」
まだです、薄皮がまだついているので熱いうちに弱火のフライパンに戻してコロコロ、すると手の中でこすり合わせるとポロポロ落ちちゃう。ちょっと大変だけど、こうして、塩をして焼いて食べてもいいよ。
食べすぎ注意、十粒まで、お腹を下す。それに大笑い。本当だからね。
まあこれを半分に切って、むかごと一緒に炊き込みご飯も最高だね。
みんなには、お昼、天ぷらにして食べてもらいます。
女性の皆さん。臭い木の実に食べられる葉っぱ、興味津々でチーの声を聞いてるよ。
栗は畑になっていました。大事なものだから、下刈りをして、栄養のある土を入れるために印をつけます。
ちょっと小粒だけど、これはこれでいいかも。
「そうそう、足でぎゅーっとして、中を取るの」チビたちは楽しそう。
ブドウがなっていてそれもとりました。
「これがイモねー」
「折れるので慎重に、長いですからね、頑張って」
むかごの葉っぱをたどって行けば長いもがある、自然薯と言う芋だそうだ。これ結構大変なんだ。スコップも持って来たよ、女子たちは別れてほっていた。
調理する時はかゆくなるので注意。折れちゃうと保存がきかないんだってさ、だから折れた物はいただくのだ。おろしたものを油で揚げたり、焼いてもいい。
ねえ、お兄ちゃん、チーちゃんと子供たちに引っ張られています、すごいうれしそう。まあ俺と同じか大きい子もいるけど、チーにしてみればお兄ちゃんと呼ばれるのがうれしかったんだろうな。
池のような場所へと連れてこられました。
指さしてきれいなお花が咲くんだよといいます、今は季節外れ。
ハスだ、もしかしたらレンコンがあるかも?というチーは水の中に手を入れました。
「水の中?ダメだ、大人を呼んでくる、それ以上近寄るなよ!」
それをおばさんたちに話すと、数人の女性が池に入っていきます。
「これかい?」
そうです、それです。
へー、これもたべれるのか。
泥の中から白いもの、なかには穴がいっぱい開いてるんだって、洗って切ったのを見た時ビックリした、でもこれがまたうまい。
サルトリイバラ、ハハコグサ、雪の下。知らない名前ばかり、これを経木に挟んで保存するんだ。ちゃんと名前書いてるからな。
のびるやクレソンは春から夏にかけての物で、あの時は運よくとれたんだってさ。
無いのか残念。
でもキノコをいっぱい取った、絶対大丈夫な奴。
「すげー、シイタケいっぱい」
「こっちはきくらげがあるよ」
「キノコは怖いからね、これと同じものだけだぞ!」
ハーイといい返事です。
♪キノコ、のこのこ元気な子。
チーと手をつなぐチビたちが歌います。覚えちゃったなー。
「じゃる、おうたうまいねー」
「そっかー?」
ちょっとうれしい。
「これが竹?」
「本当に食べられるの?」
これは春に出る新芽、土の中にあるものだけを掘って食べます。竹は重宝するから、絶対に大事にしてください。
大人達は感心しています。
お昼です。
今日は、むかごの炊き込みご飯をお握りに、それと玉ねぎとじゃがいものみそ汁を作ります。
手前味噌というだけあって、それぞれの家庭にあるものは味が違います。混ぜて使えばそりゃ美味しいの決定です。
「しらなくてー」
「よかったわ、これで使える」
「ねえ、交換しましょうよ」
「いいわね」
子供たちも大喜びでした。
栗ご飯の作り方も伝授しました。
焼き栗を少しだけ作ったけど、慣れない皮むきに四苦八苦。
レンコンとその辺の葉っぱを取って油であげて食べた。てんぷらに目を丸くする人たち。
この葉っぱが食べれるの?なんて驚いていたけどね。
白いご飯も炊いて、その上にあまじょっぱいたれを付けたてんぷらを乗せたら、それはもう、ごちそうでおいしい。
それとこんな物を作りました。
「おいしい」
「卵がプルプル」
「母ちゃん早くおくれよー」
茶碗蒸しです、かまぼこが無いので簡単にできるさつま揚げを薄く切って入れました。
「ぎんなん、ほこほこ」
「これ何かな?おいしい」
「いいねー、茶碗蒸し、家でも作るよ」
チャレンジしてください。
奥様たちだから、あーでもない、こーでもない言いながらやりやすいようにアレンジしていくんだろうな。
おいしかったし、外で食べるとなんでおいしいかな?
蒸す、という調理法を知らなくて、チーがやることは珍しいのか、みんながのぞき込んでみてたよ。
食べ終わり、母ちゃんたち大人はおしゃべりしているから俺たちは探検に出た。
「ニーニ、ニーニ大変!大発見!」
何?どうしたのとみんなが走って行きます。
お花畑と連れてこられた場所。枯れて、花は見当たらない。それでも手にしたのは確かに、白い花、紫っぽい小さな花です。
「これ、そばの花に似てる」というのです。
そば?
種を手に取りました、角ばった三角、これを食べるのか?
チーは大きな石でごりっ、とけずりました。
粉だ、クンクン、この匂い。これ、絶対だ。といいながらそれを手に走り、母ちゃんたちのいる方へ。
そしてこれを知っているかと聞きました、みんな首を振ります。
早く早くと大人達の手を引いてみんなが走ってきました。
見渡す限りの草原のように見える場所に生えていた物、でもさほど広くはないよ、チーたちが小さいからそう見えただけ、でもこれは大きい収穫です、鳥の魔物に食べられる前にとりましょう。
大人たちは鎌を持ってきて刈り取り、子供たちは、その後から種の様な物を拾い集めます。
食べ方はいろいろ、殻を取って実を、蒸してゴハンのようにして食べたり、スープの実にしてもいい、それと石うすで引いて、クレープやパスタの様にして食べてみてと言いました。
クレープ?
パスタ?
水で溶いて、薄く焼けばいい、中央に卵をのせて焼けば、ガレットと言う料理になる。
パスタはママさんが説明すると、ああ、とみんなが言った。
やってみるという女性陣。
みんなでやればあっという間です、また春に花が咲いて夏前には収穫できるそうなので印をつけておきます。
本当は乾燥させて実を落とせばいいそうですが今日は大きな布を引き叩いて落とします。
落ちなかったのは、長老の家に運びます。
面白いほど取れました。手伝ってくれた人、子供たちも、ちゃんと均等に分けました。
おわんに五杯分と少ないけど殻を取っていろいろしてみてください。
これはすごいです、まだあるので、みんなに教えなきゃです。
「それでは、粉は、もっと細かくしてね」
子供たちが石で削った粉を集めました。
簡単にお湯で溶きますという。
泥っとしたものを少し、落ち着かせてと言いました。すると沈殿してくるので、焼く手前で混ぜて、フライパンに油を薄く敷いて入れる。
くるっと回せば広がって、すぐに回りが浮いてくる。
静かにはがして裏返して、少し焦げ目がつけば出来上がり。
そのままを食べる大人たちにブーイングの子供たち。
するとチーは、はちみつと同じで、体にぶつぶつや、おなかを痛くする、体に合わない子もいるから、泥っとしたのを、腕の内側につけて、赤くならなければ食べてもいいそうだ、大人でも合わない人がいるから、気を付けるように言ったんだ。
子供たちはすぐに腕を出したのには笑ったな。
何もなかったので砂糖をチーは、フライパンで焦がしたものを塗ったんだけど、まあこれがおいしいとものすごい反響だったよ。
片づけをして少し遊んだら、もうバイバイです。
みんな大きなかごを担いで帰ります。今年の冬は何とか越せそうです。とみんな嬉しそうでした。
「ジャル、バイバイ」
「ちー」
「ちーちゃん」
またね!
バイバイ!
俺の手を握るチーの力が入ったから俺はチーにどうしたと聞いた。
チイちゃんと言われて胸がいっぱいになった。
昔、こんな田舎道で別れた友達がいた。
今は異世界。
今が楽しい。けどなんだかさみしいと言ったんだ。
寂しいか、みんなの後ろ姿を見ていました。
「ニーニ、かえろう」
おう。
だんだんと家の中に物がいっぱいになってきます。二階には冬の備えのための部屋があります、仕事をしている人たちやお客様の分もあるので相当な数です。外の小屋にもいろんなものが貯えられていいきます。ただ今年は目新しいものが並んでいるのは確かです。
『冷蔵庫が無いですからね、外は自然の冷蔵庫がわりです』
は?変な言葉で言うチー。
「れいじょうこ」とこっちの言葉で外を指さします。
「外が?」
「うん、マーマー」
変な奴?
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