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ハルさんのお店に聞きました。
叔父さんに大豆の事を聞きに来たんです。
大体の豆が、税金がかけられていないというのだ。
これは撒いてもいい?
ああ、種としても十分使える、こっちはダメだけどな。
乾燥しすぎ?
そうだという。
この辺の人はどうやって食べるの?
ほとんどが煮て食べる、スープの具が多いという。
「でもよー、今年は、結構買って行くのが多いんだよな」
みそとしょうゆかな?とニーニを見上げて聞いた。
かもな。
あー、それに、マゼンタ爺さんが今年の豆は売れないって言ってきてな、どうしてか聞いたら、うまい喰い方を聞いてきたからだっていうんだ、まあこれだけあるからいいけどな。
そこには大豆とヒヨコマメが大きな樽にはいっていっぱい並んでいます。
どれだけ値段に差があるか聞きました。
麦一合と豆三合が同じ値段だそうです。
それはありがたいな。
チーはそれを見て歩きました。小豆、ささげのようなもの、へーいろんなお豆があるのはうれしいなと言っています。
でも、小さな麻の袋にはいって、地べたにあちこちに置かれている緑色の豆を見た。
これは何?
鼠の魔物除けだそうです、他の物を食べられないようにしてあるんだっていうんだけど。チーはまたもやぶつぶつ言っている。
「これどう見ても、緑豆だよな?」と言ったんです。
するとハルさんに、これは安いのか聞きました。安いというより誰も買わないそうです。
まじか?
「ハルさんお願い」
チーは少しだけ分けてほしいと頼みました、絶対に買いに来るからと言って。
その豆を一握りだけいただき、また八百屋へ顔を出して、リリル叔父さんに、明日家に来るように話しました。
「はー、それで頼んできたのかい」
「うん、ごめんなさい」
「いいけど、そんなに一回にできるのかい?」
うん、伯父さんを中心に、くんせい教室とパエリア。
叔母さんを中心に、ミートソースとペスカトーレの瓶詰。
兄ちゃんたちは野菜の保存の仕方。
ジャルを中心に子供たちを任せる。
他の人たちは、プランターや、干しものに回ってもらえばいい。
「そんなのでいいのかね」
司祭様は長老たちに任せておけばいい、食事だけ注意してくれればいい。
日曜日は礼拝があるので、土曜日の明日来るそうです。
「ジャル、聞いてるかい?」
「子守だろ?へへへできた」またカボチャを削っていた、楽しい。
「材料はそろいそうか?」
「ああ香辛料たちも出番があってよかったよ」
チーは今、おけいっぱいのパセリをむしっています。これも乾燥させます。
パセリは、女の人がいっぱい食べちゃいけない野菜なんだ、母ちゃんは知っているようだ。
少しなら全然かまわないからいっぱい作っておくと張り切ってる奴。
こんな葉っぱも見向きもされないでいた。
「ほら」と見せてくれたカボチャ、ハロウィンで見かけるカボチャです。
「わー」
ドアを開けてくれ。
開けるとでっかいカボチャを持ってきた兄ちゃん。
「あー、ネズミに食われたのか」
「あいつらもまずいのわかってたんだな」
おいしくないの?
長雨でまずい出来だったんだそうだ。
アンジュもメルーも床に座ってネズミにかじられたところからくりぬき始めました。
「悪魔よけね、考えたもんだ」
叔父さんは笑ってた。
夜、カボチャのなかに小さな入れ物が置かれた。使用済み油を注いだものにチーが作った毛糸の芯が入れられて火が付いた。俺達は歓声を上げた。長老の家の前には明かりがともった。
冬の日の入りは早く、足早に帰る人たちが何だろうと足を止めてみている。今年の冬は大変だという人たちの足元を少しだけ、明るくしたのだった。
深夜。
外で物音がした、窓辺に行くと、父ちゃんのような影。寒くなってきたな。
寝る前に昨日の残りの甘酒を飲んだからか、トイレに行きたくなって、俺は着替えて行った。台所からの明かりが漏れていた。ドアを開けると誰もいない、ただ外から音がする。
外に通じるドアを開けた。いっぱい着込んだ父ちゃんが白い息を吐きながら何かしている。
「父ちゃん?」
「アイジュ、どうした?」
何をしているの?
「ああこれか?」
大きな箱の中には藁、その中に大きな鍋、その中には白いものに埋まった小さな鍋が入っている。
「これは、塩?どうするの?」
チサが話していた氷を作ってみるという。
できるの?
さあな?と言いながら手を動かしている。
「できたらすごいね」
「あー、寒い時しか作れないと言うが、今の時期は、氷りも少ないから助かるな」と言いながら、肉や魚も並べている。
「あー、山にはいれるのは雪がふった後だもんね、寒くなっても氷は使うしね」
「そう言う事だ」
「でもこんなに星が出ていていいの?」
「あー、天気じゃないとだめらしい、曇りだと氷はできないそうだ」
「へー、何でかな?」
「温度だそうだ」
「温度、アイツはすごいな」
「よし、これでいいだろう、明日の朝が楽しみだ」
父ちゃんに背中を押され、俺は部屋に入った。
朝、鍋にできた氷を見て、俺たちが驚くまで、数時間、俺は疲れもあったのかすっと眠ってしまったのだった。
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