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「まずは、瓶や蓋は、ぐつぐつ沸いた熱湯で十分湯がくこと、使う前に強い酒を少しでいい吹きつけるか入れて回してやればいい、これができないと瓶保存はできない」
「ここはなんだろう?お肉や貝、イカ、エビ?それに野菜がいっぱい」
穴が開いてる?これは野菜?
こっちは木?食べるの?
変わったものがいっぱいあるといっています。
酢漬けや漬物を作ります。
「瓶保存ですか?」
「ええ、一か月以上の雪の中で過ごせるようにするためのものです、ふたさえ開けなければ三ヶ月は持ちます」
なんと、三ヶ月。中には半年持つものもあるという。
「枢機卿様、離れてもよろしいですか?」
「しっかりと教わってきなさい」
「はい、皆、別れるぞ」
はい!
大きな樽に野菜と塩をして、大きな石を乗せています、これも保存食だそうです。
魚も入っているという声がしています。真っ赤だという声もしています。枢機卿様が興奮しているのがわかります。
「ハンスよ、あの子は?」
「中で待っております」
「ピエール?」
「は、はい」
「遊びたいのだろう?ここはよい、行っておいで」
ですが。
「ジュールがおる」
「行って来い」
「ありがとうございます」
少年は走っていきました。
「ミハエル、おぬしもいいのだぞ」
「私はお側に」
「そうか、肩を貸してはくれぬか」
はい。
チーは一階の応接室で待っていました。
ノックがして、枢機卿様と司教様、司祭様たちがやってきました。
“いかがでしたか?”
と枢機卿様の手を握り、座るように促します。
チーは俺達の知らない言葉で話し始めます。
「すごかった、どうだ、慣れたか?」
『だいぶ』
手を引いてイスに座らせました。
「チサ、まずは礼を言わねばな」
『私は何も』
「今年は飢えで死ぬものは減るだろう」
『そういっていただけただけで』
「食べ物はどうにかなりそうだが、相談とは何だ?」
「しょれは、ちょーから」びっくりしたこっちの言葉です。
「長老、聞くとしよう」
一つは、貧しい人たちの事です。
食べ物をもらいに来るだけではなく、自分たちが進んで仕事をするようにするためお力を貸してほしい。
「ですが」
「それは又後で、この子が良い知恵を考えてくれたのですが、私の一存では、いろんな方の意見も聞きたいので」
「わかりました、それが出来ると私どももありがたいです」
もう一つ、長老は雪の多い一月末、教会の広場で、雪まつりを開催してはいかがでしょうか?と持ち掛けた。
「雪まつりとな」
「はい」
規模は大きくなくてもいい、子供が遊べて、家族で楽しめて、後は周りの宿泊設が潤って。
「そして、平日でも教会へ行き、祈りをささげることができれば、春の楽しみはもっと大きく膨らむものかと」
ふむ。
もちろん教会の収入にも一役買う事が出来るかと。
「司教様、やってみなければわかりませんが、やる価値はあるかと」
「うむ、場所だけでよいのか?」
しっかり場所代もいただきましょうとチーが言うと笑いが出た。
「はい、あともう一つ、寒いので、教会の一部をお借りできないかと」
「中で何かするのか?」
するというより、濡れたものを乾かすような場所をお借りできればありがたいのですが。
それくらいならば構わないではないか?
「ですが、暖を取るには」
それはこちらで準備します。
「まさか火でもつけるつもりか?」
「はい、お任せください」
「こう言っておるが、やってみようではないか?」
皆さんは、はいと返事をしておられました。
「ジュール」
「はい」
「今年の見習いたちの受け入れ、少し増やしてみるか」
「は、はい」
見習いね、そんな人もいるんだな?
「あのね」とチーがすそを引っ張った人は料理長さんです。
「なんだ?」
「ぱしゅたはなまでしゅか?」
ぱすた?なま?それを説明すると笑っておられました。
「パスタは家庭で作ります、教会でも作りますが、生?とは」
「かんしょうさせてかちかちではないのでしゅね」
「ああ、乾燥させてはいないな、というか乾燥させるのか?」
二ーっと笑った。
乾燥させて売ればいいのに、それだけで、教会の収入ですよ。
「ハハハ、ヨハンよ、乾燥させて売れと言っておる」
「売れるものでしょうか?」
寒い時期は空気が乾燥しているから、乾物を作るのにはうってつけ、そのお金で、貧しいものたち、そして、この街の発展のためにお力をお貸しください。
「そういうことならば、やってみましょう」
乾燥したものがあるので見てくださいというと、驚いておられた。
「ニーニ、甘酒をお願いしマシュ」
ああ、もってくるよ。
「ジュール、今年の冬が楽しみだ」
「はあ・・・ですね」
チーは、枢機卿様と変な言葉で話しはじめます。そして、驚愕の事実を知るのです。
『そ、それでは人類は滅亡?』
「ああ、今はすべてが、人間と交配してできた獣人ばかり、だがなチサ、そのおかげで、人間の病はほとんどなくなったのだよ」
チーはショックと言って、イスにもたれかかったそうだ。
そのあとも何かを聞いたのだが兄ちゃんたちはわからなかったらしい。
「わからないが、遺伝子操作とか染色体異常とか書かれてあるな」
『書物があるんですか?』
ガバッと起き上りテーブルに手を付き前のめりになるチー。教会に行けば、人間たちの残した資料があるそうだ。
「しょうかー」
『人類滅亡して何年たったのでしょうか?』
「何年だろう?」ただ、いまの私たちの体になってからは、たかだか三千年ほどだというのだ。
三千年?それは又途方もない。学者たちが言うには大きなもの達が死滅してからは一万年以上たっていると聞いたことがある。
『一万!そっか……んー、でもな、次に目を覚ました時は確か?』
「ン?次に目を覚ましただと?」
『はい、死んだと思いました』
「死んだ?」
「あのー、枢機卿様?チサがドラゴンから生まれたのなら、脱皮では?」
「ドラゴン!」
大きな声を出した子は口に手を当て大人の後ろに隠れました。誰だ?
「おーありえるな」
脱皮…ですか。
「ドラゴンに関しては文献がほとんどありませんからね、物語以外」
『あーそういう事か』
俺はカップをもって父ちゃんが鍋を持って部屋に入った。
『あの?ここは、スペインでしょうか?』
「スペインというのか、よくわからぬ、この国の名を知っておるか?」
首を振ったチー。
「ラグラダという、わからぬか?」
なにが?
サグラダファミリアの文字が抜けたのではないかと思っていると言われた。
微妙―・・・あ、でもグラナダという地名はありました。
「グラナダ?それは今でもある、この国の一番西の領地の村の名だ」
へー。
前は、海がそばにあったのですが?
北は海があるがこの国にはない。南は大陸とつながり、北は大きな島とつながった、海はなくなったと聞いている。
アフリカとドッキング、地動説か。もう一つ。食品は日本のものが多くて驚いている。
人が流れ、すみやすいところ目指し動いたせいだろうという。
そうなんだ。
「教会に来ればいつでも教えてやれる、また何か新しいことを見つけた時は教えてくれまいか」
「あい!」
ことりと白い物が入ったカップを置いていく。
「どうぞ、これはチサが作ったものです、これを教会で作ってみてはいかがでしょうか?」
「この飲み物は?」
「甘酒と言います、酒のような匂いがしますが発酵させて出る香ですので子供から大人まで飲めるものですよ、どうぞ」
「ほう、これはうまい」
「ン!美味しい」
やっぱり、ファンタジーの異世界だと思ってしまったのだった。
クックッと笑う枢機卿様、どうかしましたか?
「いや、チサの考えていることが楽しくてな」
わー人ののぞき見ですか?
いやそうではない。
プライバシーの侵害だ。
なんだそれは?
もう見ないで、恥ずかしい。
枢機卿様はそれでも笑っていて、周りも言葉がわからなくてもそのやり取りに笑っていました。
ノックの音がして、お昼の準備ができたという。
皆さまには、まだまだ聞きたいことがある、けど、今はおなかが空いた。とお腹をさするチーにみんなが笑いました。
今日は天気も良くポカポカ暖かくてよかった。皆さんを外に案内します。
「枢機卿、これだけのことを覚えている物なのでしょうか?救世主といってもまだ幼子、本当に世界は救われるのでしょうか?」
「さあな、だが今は、変わったものを食してみたいとは思わぬか?いい匂いが漂っておる」
はあ、まあ、そうですね。
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